日記×おもしろ人物(16)

個人的に面白いと思った日本史の人物。

今回紹介するのは、牧の方だ。

北条時政の後妻で、北条政子北条義時の継母と言えば、わかりやすい。

政子ばかりが尼将軍と呼ばれて日本史に燦然と輝いているが、この牧の方もなかなかのやり手だ。

頼朝の愛妾の存在を知り、愛妾が匿われている武士の家を家来に命じて襲撃させたのは、有名な話だ。

しかし、この話の火付け役が牧の方とは知られていない。

政子が出産を終えた後、お祝いに訪れた牧の方が「そう言えば、頼朝が愛人を家来の家に隠しているんだって」と、政子に教えたことが引き金になっているからだ。

一見すれば、継娘夫婦の仲を心配して教えたように見えるが、真意は継娘夫婦の不和を起こすためだったのではないかと思える。

なぜなら、愛妾宅襲撃をしたのは、牧の方の兄弟だったのだ。

牧の方が、言葉巧みに政子をそそのかし、「すでに襲撃役を用意してあるわよ」と煽った可能性が高い。

それでも、表面的には善意に見える言動なのだから、牧の方は相当要領がいい。

ちなみに、時政に先立たれた後は、娘夫婦のいる京都へ帰り、優雅に暮らして天寿を全うしたそうだ。

要領のいい人間は最期まで要領がよかったという手本の人物だった。